千年の追憶【完】
俺の口元にまとわりつく雪路の生暖かい血に吐き気がした。


『要らぬか』
『甘くて、滑らかで、忘れられない味になろうに』


そう言うと、聖月は雪路の心臓を貪った。


おぞましい光景だった。


俺は、顔を洗おうと池に近付き水面を見た。


そこに写っていたのは鬼。


銀色の髪。
金色の瞳。
黄色い角。


でも、顔立ちは間違いなく俺。


大嫌いな、女のような軟弱で中性的な、俺の顔だった。


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