千年の追憶【完】
目の前に広がる風景は、とてもよく知っている場所だった。


緑色に香る、あの竹林。


私達は少し離れた所から、竹林を眺めていた。


微かに誰かの声が聞こえた。


「水菊。早時様。どこにいらっしゃいますか?」


…!!…羽琉だ!


間違いない。


あの背の高さ。

ねずみ色の着物。

面倒くさいからと言っていつも自分で短く切ってしまうザンバラの髪。

切れ長の涼しげな目元。


< 151 / 203 >

この作品をシェア

pagetop