千年の追憶【完】
「早時様ならアイツを幸せにしてやれます。
俺には何もない、何も持ってない。
アイツを幸せにしてやれるだけのものを、何も。」


羽琉はそんなふうに思っていたの?


私は、羽琉と一緒に笑っていられるだけで幸せだったのに。



―タケルが隣で唇を噛んでいた。



「もし水菊が羽琉を好きだって言ったらどうするんだ?
幸せにする自信がないって言って断るのか?」


「それは…。」


「俺は、遠慮しないからな。
お前がそんな男だったなんて、思わなかったよ。
水菊の事は、俺が幸せにする。
俺の事を好きにしてみせる!
お前に水菊は渡さないよ。」


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