千年の追憶【完】
早時様は竹林を後にした。


一人残された羽琉はしばらくその場に立っていたけど。


言葉にならない声で何か叫びながら、側にある竹を手当たり次第に殴り飛ばして、竹林から出て行った。



しばらく私達は、静かにその場に佇んでいた。


沈黙を破ったのは、早時様だった。


「羽琉。どうだ?
あれは本心だったのか?」


鬼の姿のままで、早時様はタケルを見やる。


タケルは唇を噛んだまま、答えずにいる。


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