千年の追憶【完】
片手でしっかりと両腕ごと体を抱きしめられ、もう片方の手で顎を持ち上げられた私は、身動き出来ずに、されるがままの状態だった。


早時様の唇が徐々に下へ下がり私の首筋を舌が這う。


「…やめっ…。」


私は、のけ反って抵抗しようとした。


「早時様!止めてくれ!」


早時様はゆっくりと私から唇を離し、顔を上げた。


羽琉は頬を上気させて、怒りの声を発したのだ。


見るに絶えないという感じで。


私の頬を涙が伝う。


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