千年の追憶【完】
「早時様。
こいつは都ですよ。
水菊は、死んだんです。」


「生まれ変わって、ここに居るじゃないか。
俺の腕の中に!
俺はこの日のために千年、生きてきたんだ。
羽琉。
お前だって、生まれ変わってここに居る。
何でお前、この時代に生まれてきたんだよ。
水菊の心の中にお前が居る限り、俺は水菊から愛してもらえないじゃないか。

そうなんだ…そんなの分かってる…。

でも、俺は…。
俺は水菊が欲しい。」


切ない程に水菊を求める早時様。


私は、水菊として振る舞えばいいの?


早時様の手は、まだ緩まないでいた。


< 162 / 203 >

この作品をシェア

pagetop