千年の追憶【完】
「早時様。」


私が口を開こうとした時、羽琉の方が一足早く声を発した。


「俺のせいですね。

早時様は正直に俺に想いを打ち明けてくれたのに、俺は応えられなかった。

幸せにする自信がないなんて言い訳をして、自分からも逃げたんだ。

でも、本心でもあったんです。

早時様ほどのお方と一緒になれば、間違いなく幸せになれる。

早時様は、誰よりも水菊を愛しんでおられたから。

安心して水菊を任せられると思ったんです。

それに…。

俺との間で、早時様の気持ちを知った水菊が板挟みになるのも可哀想だったし。」

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