千年の追憶【完】
「水菊…?」


早時様は少し驚いた顔で、私の方を見た。


「本当か?」


どこまでも美しく妖艶なお顔。


「はい。本当です…。」


私は微笑んだ。


「ただ、早時様が私を愛しいと思って下さる気持ちが、戯れであればいいとは、思っていました。
早時様のお気持ちが私なんかには勿体なくて。

それに…。

やはり私には、羽琉を想う気持ちがあって、早時様に対して誠実ではいられなかったんです。」


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