千年の追憶【完】
「もしもこの先…。

私が早時様を愛したとしても、それは水菊ではありませんよ。

私は今を生きている“友瀬都”なんです。

羽琉も…。もう居ません。

居るのは“タケル”です。

…同じ事の繰り返しですね。

でも私には、こんな事くらいしか言えません。

私(みやこ)がタケルを、羽琉のように想っているのかと言われると、それは違います。

タケルは私にとって、お隣の優しいお兄さんですから。

私は都で、水菊ではないんです。

だからタケルは、そもそも関係ありませんよ。」


「そうゆう言い方ないだろ!」


黙って聞き役に徹していたタケルが、苦笑しながら少し不機嫌に口を挟んだ。


< 174 / 203 >

この作品をシェア

pagetop