千年の追憶【完】
早時様は私に、遠慮がちに尋ねた。


「抱きしめてもいいか?」


こぼれる涙を拭いもせず、優しい笑みを私に向ける。


タケルが居るのは関係ないみたい。


私は恥ずかしかったけど、コクりと頷いた。


早時様は嬉しそうに、ふわりと包み込む様に、私を抱く。


「…もう一度。
もう一度だけ。
愛していると言ってくれ…。」


愛しているとは、言ってないんだけどな。


でも早時様が喜んでくれるなら…いいよ。


「早時様を愛しています。」

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