千年の追憶【完】
なんて穏やかな、早時様の満ち足りたお顔。


「水菊。愛してる…。」


「早時様!!」


私は、なす術がない。


タケルと一緒に、ただただ崩れ落ちていく早時様を、見ているしかなかった。


数秒の後、美しい鬼が一人消えた。


呆然としている私の頬を、ゆっくりと風が撫でてくれた。


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