千年の追憶【完】
「どこ行くの?」


「俺ん家。」


何度も行ってるはずなのに、妙に恥ずかしい。


意識しすぎだね。


この人は、『タケル』だよ!


でもやっぱり、隣を歩くタケルを見上げて懐かしく思う。


こんな風に羽琉を見上げて、ときめいたっけ。


「なんだよ?」


私の視線を感じたのか、タケルが私を見下ろす。


「なんでもないよ。寒いね。」


私はタケルの腕に、自分の腕を絡めた。


「変なやつ。」


タケルの顔が綻んだ。


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