千年の追憶【完】
タケルは一つため息をついて、缶コーヒーに口をつけた。


「俺さ。
実は、彼女が居るんだ。」


「えっ…!知らなかった。」


「…うん…。
都には知られたくなかった。
何で知られたくなかったのか、今分かった。
きっと俺の中の羽琉が、お前に気づいて、言う事をためらわせたんだと思う。
俺の無意識の記憶の中に、水菊を愛してる羽琉が居たんだよ。」


それから、しばらく私達が口を開く事はなくて。


< 192 / 203 >

この作品をシェア

pagetop