千年の追憶【完】
穏やかだけど、回りに女子達がいる事に、少し迷惑している表情。


この表情をする男の人を私は、知っている。


美しく整ったそのお顔は、間違いなく早時様だ。


どうして…?


早時様は昨日、私達の目の前で砂になって消えたのに。


そう。『鬼』は消えたんだ。


「ちょっと都。
何泣いてんのよ?
ゴミでも入った?」


美百合が私の肩を軽く叩く。


何気なく早時様が顔を上げて、こちらを向いた。


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