千年の追憶【完】
いつもの朝。

いつもの寒さ。

いつもの通学時間。


私、友瀬都(ともせ みやこ)のクラスに転校生が来るということで、教室の女の子達は噂話に夢中になっていた。


「ねぇ!
転校生さ、男子だってね。
親の転勤の都合で、留年しちゃってるから、うちらより年上らしいじゃん。」


「ちょっと~、なんでそんなに詳しいのよ?
ねぇ…都?」


「あっ…。うん…。」


何となく窓の外を眺めながら、クラスメートの話は上の空で聞いていた。


外はチラチラと雪が舞っていてとても幻想的。


冬休みが明けたばかりの、新年早々の転校生。


高校生になって1年が過ぎようとしている、平凡で退屈だった教室内。


降って湧いた転校生の話に、皆が盛り上がるのも、無理はなかった。


でも私はどこか無心で、幻想的に舞い踊る雪を、教室の窓から眺めていた。


< 26 / 203 >

この作品をシェア

pagetop