千年の追憶【完】
彼が入って来た瞬間、空気が変わったような気がした。


騒がしかった教室内はシンと水を打ったように静まりかえり、生徒達の視線は釘付けになっている。


息を飲む程の彼の美貌に、男女問わず惹き付けられた。


妖艶と表現したくなるほどの、女性のような中性的な面立ち。


それでいて、凛とした容姿と立ち姿。


その身に纏う、時間の流れを支配しているような空気感。


少し長めの黒髪と甘い目元に、私は何となく見覚えがあるような…?


気のせいかな。


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