千年の追憶【完】
『不思議だな。初めて会うのに。変な感覚…。』


初めてだけど、初めてじゃないような気もする。

初めて聞く知らない名前。

知らないけど、知ってような気もする。


「じゃあ、鹿住くん。
後ろの空いてる席に着いてくれる?」


「はい。」


席まで歩き出した鹿住くんを、女子達がうっとりとして目で追った。



―休み時間。


案の定鹿住くんは女子達に捕まった。


私はその輪に引きずり込まれる前に、そっと席を立ち廊下に避難した。


ちらっと廊下から鹿住くんを盗み見る。


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