千年の追憶【完】
「み～や～こ～！」


美百合が走って近付いて来た。

「もう！早時くんたら突然変な事言って出て行っちゃうから、皆が心配してたよぉ！」


腕を掴み甘えた様に語りかける美百合に、鹿住くんはあからさまに不機嫌な顔をした。


「さっきも皆に言っただろう。気持ちは嬉しいけど、あんまり俺に近づいてほしくない。」


長い黒髪を揺らして、美百合は俯いた。


美百合と鹿住くんが並んで立つと、美男美女の似合いのカップルだ。


それに、何故だろう。


二人が一緒に居る風景に、見覚えがある気がした。


「初めに言っておくけど俺、他の女に興味ないから。
俺が欲しいのは…」


「あ～！」


鹿住くんの言葉に被り気味に、私は声をあげた。


「私帰るから。
二人はゆっくり話してて。」


私は、オーバーな位に大きく手を振って、半ば強引にその場を離れた。


鹿住くんが私を通して見ている水菊に、耐えられそうになかったから。


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