千年の追憶【完】
私は朝の仕事が終わって、一息つこうと、お気に入りの池の畔に向かおうと思った。


屋敷の勝手口を出た所で、不意に私は呼び止められた。


「おい、水菊。」


「あらタケル。
あっ違うわ。羽琉!」


「…?タケルって誰だ?」


「ふふっ…。誰かしら?
私にも分からないわ。
可笑しいわね。」


使用人仲間の羽琉(はる)


年は私より四つ上で、使用人としても先輩。


初めて会った12歳の時に、呼び捨てでいいって怒られてから“さん”は付けていない。


ぶっきらぼうで口数は少ないけど、とても優しいの。


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