千年の追憶【完】
その時、お出かけになられたはずの早時様が、つかつかと私達の方へ歩いて来るのが見えた。
少し不機嫌なご様子。
早時様は早足で近づいて来ると、無言で私の腕を掴み引っ張った。
「…!?早時様…?」
私の腕を掴んだまま、早時様は羽琉から私を遠ざけるかの様にクルっと背を向けて歩き出した。
小走りにしないと、転んでしまいそうになる。
屋敷の敷地を抜けて、少し進んだ先にある、こじんまりとした竹林。
ここまで引っ張られるようにして、連れてこられた。
竹林の中に入ると、春の陽の光が差し込んで、一面緑色の世界だった。
「…?早時様…?」
「…。」
「どうかなされましたか?
お出かけになられたのでは?」
「…。」
私は、早時様の言葉を待った。
少し不機嫌なご様子。
早時様は早足で近づいて来ると、無言で私の腕を掴み引っ張った。
「…!?早時様…?」
私の腕を掴んだまま、早時様は羽琉から私を遠ざけるかの様にクルっと背を向けて歩き出した。
小走りにしないと、転んでしまいそうになる。
屋敷の敷地を抜けて、少し進んだ先にある、こじんまりとした竹林。
ここまで引っ張られるようにして、連れてこられた。
竹林の中に入ると、春の陽の光が差し込んで、一面緑色の世界だった。
「…?早時様…?」
「…。」
「どうかなされましたか?
お出かけになられたのでは?」
「…。」
私は、早時様の言葉を待った。