千年の追憶【完】
早時様はゆっくりと振り向いて私の両肩に手を置いた。


息が止まりそうな程に美しいお顔は、少し頬が高揚している様に見える。


その瞳はじっと私を見つめていて、吸い込まれてしまいそう。

「水菊。」


「…はい。」


「水菊は…。
羽琉が好きなのか?」


思いがけない早時様の言葉にびっくりして、私は頬が熱くなるのを感じ、うつむいた。


「好き…なのか?」


「いえ…。その…。」


恥ずかしくて言葉にならない。

私は羽琉が好き?


そんなふうに考えた事なかった。


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