千年の追憶【完】
俺は、初めて自分のわがままを行動におこした気がする。


今までは、自分はこの里を治めていく立場だと己を律し、父上の教えの元で生活してきた。


俺は、幼い頃から自分の顔立ちが好きではない。


女のような力強さのない、中性的な顔。


回りの女達は、これのどこがいいのか、綺麗だの素敵だのと騒ぎ立てる。


正直うんざりだ。


でも、父上が姫君達をないがしろにしてはならないと言うから、したくもない姫君たちの相手もしてきた。


視察で馬に乗るのではなく、遠乗りで思いきり馬を駆けたい。

それも、我慢してきた。


本当は、水菊ともっと一緒に過ごしたい。


一番飲み込んできた台詞。


ずっと言えずにいた。


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