千年の追憶【完】
俺は水菊を抱きしめ中に入ると、後ろ手に障子を閉めた。


「や…!!」


怯える水菊の声は、俺の耳には届かなかった。


水菊を抱きしめたまま、布団の上に倒れこむ。


「早時様、お願いです!
お止め下さい!」


水菊は必死に訴えた。


髪が乱れ、胸元が少しはだけている。


俺は獣か?


自分の思うままに動いていいのか?


ほんの少しの罪悪感の後、水菊の首筋にそっと唇を這わせた。


「…んっ…。」


水菊の声にならない声が、俺を乱す。


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