千年の追憶【完】
そいつは、顔も汚れていて痩せていたが、とても力強い目をしていた。


「この子は、羽琉(はる)といいます。
若様より少し、年は上です。
可哀想に、道端に捨てられていました。
旦那様が使用人として、拾って下さったんです。」


羽琉か。


「いい名だな。」


俺は素直に思った事を口にした。


羽琉は誉められる事に慣れていないのか、少し困ったような笑みをこぼした。

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