千年の追憶【完】
私は膝の力が抜けて、ぺタンとその場にしゃがみこんだ。


初めての口づけも、初めての夜の営みも、私の望む形ではなかった。


一方的な感情によるもの。


「大丈夫か?」


羽琉は自分もしゃがみ、私と同じ目の高さなった。


そして軽く両手を、私の肩に置く。


「やっ!」


瞬時に先程力づくで、身動きできなくされた恐怖感が蘇る。


慌てて羽琉が手を離す。


また、心を締め付けられるような感情が溢れてくる。


私は両手で自分の肩を抱いた。


「どうしたらいいの…。
どうすればいいの…。」


< 81 / 203 >

この作品をシェア

pagetop