千年の追憶【完】
私は、慌てて頭を振る。


「いけません!いけません!
そんな事を考えては、いけません。」


私は、必死に訴えた。


早時様は有無を言わさず、私の唇を奪う。


何度この唇に触れて、舌が絡んだだろう。


私はいつも、自分の気持ちを殺して、主のために人形のように抱かれていた。


単なる慰み者でいよう。


あの日、あの池の畔でそう決めた。


…妻!?


あり得ない話だった。


< 84 / 203 >

この作品をシェア

pagetop