千年の追憶【完】
私は、いつも通り仕事をこなし、忙しく毎日を送っていた。


そうしていないと、頭が変になりそうで…。


もう季節は、初夏へと移っていた。


今も洗濯物を干しているだけで、ほんのりと汗ばんでいる。


「一服しないか。」


声をかけられて振り向いた。


振り向かなくても誰かは直ぐに分かったけど。


「後、三枚。
着物干せば終わるから。」


この人と居ると、ホッとする。


大好きな人。


羽琉。


あの日から今日まで、羽琉は私に何一つ聞いてこなかった。


私から何か言った方がいいの?


ううん。


多分、羽琉は全部分かってると思う。


分かってて、何も聞いてこないんだよ。…きっと。


聞かれたところで、私は…。

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