千年の追憶【完】
「ねぇ、羽琉。私ね…っ…。
…うっ…。」


突然喉の奥から何かが上がってくる感じ。


気持ち悪い。


吐きそう。


慌てて手で口を押さえ、側にあった木の根本にしゃがみこんだ。


苦く酸っぱい胃液が口の中に広がり、むせ返る。


「大丈夫か?」


羽琉が駆け寄って、心配そうに背中を擦ってくれた。


「…ん。なんとか。
そういえば最近あまり体調がよくなくて、食欲もなかったの。今朝もご飯抜いてしまって。」


羽琉は擦っていた手を止めて、観念したような声を絞り出した。


「お前…。
早時様のお子が…。」


「…!!」


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