千年の追憶【完】
考えてもみなかった。


私は浅はかだ。


当然、こういう事は起こりうるって…。


早時様のために、人形になっていただけなのに。


体は人間のままだった。


そういえば、月のものは来ていない。


「どうしよう…!
ねぇ、羽琉!どうしよう!
私、もうここには居られない!
羽琉の側にも居られない!」


滑稽な程に私は取り乱していた。


こじんまりと整えられた裏庭には、向日葵がゆっくりと葉を揺らしていた。

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