千年の追憶【完】
「早時様~!
どこにいらっしゃいますの~!」


聞き慣れた声が、耳に入ってきた。


雪路様だ。


「まぁ!
こんな所にいらっ…しゃ…い?
何をご覧になっておりますの?」


私と羽琉は、恐る恐る振り返った。


早時様が、何とも表現できないお顔で、呆然と立っていた。


その横から、雪路様がひょっこりお顔を覗かせた。


嬉しそうに、照れくさそうに、ゆっくりと私の方へ歩み寄る早時様。


「今の話…。」


確認するというよりは、もう一度聞きたいといった感じで、私を立ち上がらせる。


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