千年の追憶【完】
早時様は雪路様を落ち着かせるために、屋敷の中へ連れて行った。


「俺の水菊を頼む。」


羽琉にそう言って。


私は、複雑な気持ちでそっと羽琉を見上げた。


「大丈夫。
きっと早時様はお前を幸せにして下さる。」


切れ長の目が、私に優しく微笑む。


…羽琉からそんな言葉聞きたくないよ。


何でそんな事、言うの…。


私はもどかしくて、羽琉を少し睨んだ。


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