30才の初恋
第1章

30才の誕生日

家の家族は本当におめでたいと思う。


30才になる娘の誕生日を盛大に祝おうとしてるのだから。


妹も弟も何だか楽しそうだ。


私はそんな様子をまるで他人事のように見ていた。


30才の誕生日にケーキはないと思うけど、ろうそく30本立てるつもりなのか。


私の名前は武井明日美、今日で30才になります。


小学生の時好きだった男の子に嫌われ、不登校になり、その後は私立の女子高女子大に通った。


いまだにその事がトラウマになり、男性は苦手。


女子大を出て、今は父親の不動産屋で事務をしてる。


店には両親しかいない。


出会いなんて全くない、それでいいと今日まで思っていた。


出会いなんて必要ないし、恋なんてしなくても生きていける。


美味しいものを食べる事で充分幸せを感じられるから。


この生活に満足してる。



























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