30才の初恋
玩具の指輪？あれは玩具の指輪だったの。




赤い小さな石がついた、ゴールドの指輪。




明日美と約束しただろ。幼稚園の時、指輪をくれたら俺と結婚するって。




そんな約束した覚えがない。




子供の俺は指輪を買うお金がなくて、縁日であの指輪を見つけた。




明日美の10才の誕生日に、あの指輪を渡すつもりだった。




でも俺は親父の都合で転校が決まり、指輪を渡すことは出来なかった。




｢じゃ、あのイニシャルは何？｣




｢あれは清水の俺がSで武井のお前がTだよ。｣




もうバカみたい、普通イニシャルは名前でしょ！




言うのもバカバカしい。




どっと疲れが出て、睡魔が襲った。




｢明日美、寝るなまだ俺告白してない。｣




そんなの知らない。




告白なんか一生させてやらない。




斗真お休み。




うふふ、だって眠いの。













< 106 / 308 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop