30才の初恋

逃げる

今度は私の後を斗真が追いかけて来た。




どこまても逃げてやる。




エレベーターに乗り社長室を目指した。




今から会議があるのだ。




キャンセルなんか出来るはずがない。




ノックして社長室に入ると、秘書の織原さんにいきなり社長室に入るなんて非常識だと攻められた。




非常事態なんだから、社長の許可を取ってる暇なんかない。




斗真に追われてるんだから、社長に助けを求めるしかないのだ。




「明日美ちゃん、そんなに慌ててどうした?」




「社長「おい、のろまの癖に逃げ足だけは早いな。明日美を連れて帰ります。」




社長、Help me!




「副社長、慌ただしい何事ですか?それにあなたは秘書としての自覚が無さすぎです。そのスーツはなんなんですか。」




そんな綺麗な顔で怒らないで下さい。




明日美のスーツは俺の趣味でねと、私の腕をガッシリ掴んだ斗真が言った。




織原さんなんとか言って、この際織原さんでもいいから、Help me!



なんで、伝わらないかな?



私は助けを求めているんです!














< 109 / 308 >

この作品をシェア

pagetop