30才の初恋
会議が長引いていて、昼食を用意するように言われた。




いきなり25個のお弁当だなんて、用意出来るはずがない。




「明日美、急いで弁当屋に走れ、俺の車使っていいから。」




10年前に免許はとったが、車には全く乗ったことがない、ペーパードライバーだった。




そんな私があのベンツを運転出来るはずもなく、だが25個のお弁当を車なしでは、買いにも行けない。




25個の弁当などとうでもいいと思いながら、仕事を放棄する事は出来なかった。




ベンツのキーを持ち、お弁当屋に行く決心をした。



もう知らない。




ベンツの鍵を渡した斗真が悪いんだからね。たとえベンツがボコボコになっても知らないんだから。




ナビなんて使ったこともないし、ナビが一々指図してうるさくてたまらない。




黙れナビ!




斗真みたいに一々命令するんじゃないわよ。




え、右に曲がれ、無理よ!



左に曲がちゃったし、まぁいいか。



地球は丸いんだから、何とかなるわ。











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