30才の初恋
帰りに医務室に寄った。宗次郎に会うのは久しぶりだ。




宗次郎は何も聞いて来ない。




「顔色悪いぞ、大丈夫か?」



「うん、大丈夫。」




「又、斗真と何かあったのか。」




ない、ないから不安なんだ。



斗真が優し過ぎるのはおかしいし、私に絡んで来ないのが怪しい。




「明日美、後少しで終わるから奈歩一緒に迎えに行って、家で鍋でもするか?」



うん、鍋がいい。




「キムチ鍋がいいな。」




「了解、ほらそこに座ってろ。」




宗次郎が膝掛けをかけてくれた。




宗次郎は優しい。




宗次郎は湯タンポみたいに暖かい。




宗次郎といたらきっと幸せになれるだろうな。



宗次郎と奈歩ちゃん、二人といれば絶対暖かな家庭を作れるはずだ。



なのに、どうして斗真なんだろ。



どうして、斗真を求めてしまうのだろうか。














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