30才の初恋
奈歩ちゃんも急に元気がなくなった。




「斗ちゃん、いつパパになったの?斗ちゃんの浮気者め。」




本当だ、奈歩ちゃんの言う通り斗真は浮気者だ。




斗真は彼氏でも何でもないんだから、斗真が浮気しても文句は言えない。




本当に斗真の子供なら、斗真は必ず責任をとる男。




あの子の母親と結婚して、子供を育てて行くのだろうか。




斗真の幸せを願わなきゃ駄目だ。




泣いたりしない。




「宗次郎、キムチ鍋本当に美味しいよ。」




「泣きながら食べて美味しい訳ないだろ。斗真に電話して、話を聞いてやるから、明日美泣くなよ。」



電話なんかしなくていい。




斗真の言い訳なんか聞きたくない。




宗次郎が斗真の携帯に何回かけても、通じることはなかった。




土日が休みで本当に良かった。




斗真の顔を見ないで済む。




今は斗真の顔なんか見たくもない。




斗真に近づけたと思ったのに、やっぱり斗真は遠い存在だった。




あの頃と何も変わっていない。















< 125 / 308 >

この作品をシェア

pagetop