30才の初恋
奈歩ちゃんがギュッと抱き締めてくれた。




「今日のママが元気ないから、奈歩がギュッしてあげる。」




「ママちょっと緊張しちゃって、奈歩ちゃんありがとう。」




「明日美、今ママって言わなかった?」




「うん、宗次郎の告白の返事をしに来たの。」




奈歩ちゃんがショートケーキを、美味しそうに食べている。




「宗次郎、このワインで乾杯しよ。」




え、何に乾杯?




不思議そうな顔をする、宗次郎をじっと見つめた。




「奈歩ちゃんのママになりたい。私を宗次郎のお嫁さんにしてくれる。」




奈歩ちゃんは口に入ったショートケーキを、もぐもぐしながら、やった!と飛び跳ねた。




宗次郎は固まって、私を見つめたまま。




ごめん、宗次郎。




自分からプロポーズしちゃった。



でも、そんなに驚かなくてもいいのに。















< 131 / 308 >

この作品をシェア

pagetop