30才の初恋
目を覚ますと、隣にいたはずの宗次郎がいなかった。



トイレでも行ったのかな?



え、話声が聞こえる。




誰かいるのだろうか。




リビングに斗真の姿が見えた。




その隣には加容子さんもいる。




私は出て行くべきか悩んでいた。




「明日美はぐっすり寝てるから、起こさないでほしい。加容子はどうするつもりだ。」




「斗真には真実を全て話した。それでも斗真が好きだと言ったわ。」




加容子さんはそんなに斗真が好きなんだ。




斗真の気持ちは?




「ねぇ明日美そこにいるんでしょ、のぞき見なんて趣味悪いわね。」




のぞき見なんてしてない。ただ、出るに出られないだけだったのに。




それでも躊躇していると、ドアが開いた。




「明日美、大丈夫だからおいで。」




斗真が私と宗次郎を交互に見た。



そうだ、私たちはお揃いのパジャマを着ていた。




「あら、やだ、2人はもうそう言う関係なのね。斗真は完全に振られたのよ。明日美、私に斗真をちょうだい。」



ちょうだいって、なんなの。




斗真は物なんかじゃない。




二人がどんな関係か知らないけど、こんな朝早くから、人の家に訪ねて来るなんて、非常識だとは思わないの。













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