30才の初恋
完全看護だから付き添いはいらないらしいが、私と咲良さんが交代で付き添う事をお願いした。




検査結果も問題なくて、無理をしなければ仕事は続けても構わないらしい。




その日病室に社長と2人になった。




「明日美ちゃん、いつもありがとう。これからも斗真の事頼みます。」




社長に頭を下げられ恐縮していると、社長がとんでもないことを言い出した。



僕は斗真に全てを任せ引退しようと思う。来年度から斗真が社長になるように、役員会にかけるつもりでいると。



斗真が社長になるったら、又遠い存在になってしまう。




「明日美ちゃんには、いずれ社長夫人になってもらいたい。」




わ、わ、私が社長夫人。




ちょっと待って、無理、無理、絶対無理です!




「明日美ちゃんなら大丈夫よ。ほら私だってなんとか務まってるし、あまり深く考えたら駄目よ。」




あまり深くも、嫌浅く考えても無理なものは無理です。




咲良さんは元々藤川家のお嬢様だった人。




私はただのつぶれそうな不動産屋の娘(父さんごめん)。




咲良さんとは違う。



どうしたらいいの。



斗真はこの事を知っているのだろうか。














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