30才の初恋
第5章

重圧

社長の引退が発表され、斗真が社長になる事がほぼ決定した。




副社長の仕事は益々忙しくなり、地方や海外へと飛び回っている。




副社長としての最後の仕事も追われてるようだ。




私は秘書と言っても、金山さんや加納さんのような仕事は出来ないので、副社長の身の回りの世話係り。




出張の着替えの準備、宿泊先の手配など、誰でも出来る仕事なら、私はいなくてもいいのではないかと思ってくる。




今日も副社長を送り出し、副社長室の片付けをしていると織原さんが入って来た。




「武井さんあなた分かってるかしら。副社長のお荷物ってもっぱらの噂よ。コネでこの会社に入って、副社長の幼馴染みで婚約者だなんてあり得ないわ。」




はい、充分に分かっております。



秘書の仕事もろくに出来ない私に社長夫人が勤まるわけがないと。




自分で承知してますから、一々言わないでほしい。




織原さんは優秀な秘書で、私の存在がウザいのも十分に承知しておりますから。



でも、これでも、私成りに副社長を支えているつもりですが、織原さんは私に辞めてほしいんですよね。









< 183 / 308 >

この作品をシェア

pagetop