30才の初恋

対決

金山さんの運転で堤設計事務所に向かった。




助手席の斗真は無言のままだ。




半端ない緊張感、堤設計事務所に行くのは本当に仕事の話なのだろうか?




それとも私と準平さんの偽装結婚の話なのか。



準平さんから来たメールには、【全て僕に任せて明日美は頷くだけでいい】頷くだけでいいなんて、かなり不安だ。



弘平も来るのかな。




思わずため息が出た。




「ため息つきたいのは俺だ。堤準平が俺を呼びつけるだなんて、あの若僧、何を考えてるんだ。」




やっぱり仕事の話ではないような気がする。




上手く話を合わせる事が出来るかな。




「明日美は、あの男とどんな関係なんだ?」




どうしよう、なんて答えたらいいの。




下手に何かを言ったらボロが出そうだ。




「副社長着きました。」




良かった。




斗真と準平さんの対決が始まるんだ。




覚悟決めなきゃ、駄目だね。













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