30才の初恋
スポンジケーキを泡立てた生クリームでデコった。




我ながら良くできたと思ったのに、松井シェフにダメ出しをくらう。




又最初からやり直した。




腕も肩も疲れてパンパンだ。




完璧なケーキを作ると決めたからには、最後まで諦めたくない。




松井シェフも真剣だ。




松井シェフ彼女はいないのかな?




「俺の顔見すぎ、社長より俺が良くなったとか。」




ない、ない、それは絶対ないです。




「社長の何処がいいの?」




「全てかな?好き過ぎておかしくなりそうです。ずっと一緒にいたいって思う。」




「おまえは一途なんだな。」



「うん、20年前からずっと斗真が好きで、斗真以外好きになれない。」




天然物のアホだと言われた。




女は信じられないから嫌いだ。そう言った松井シェフは何処か寂しそうだった。



彼女に酷い振られ方をしたのかな。



料理が出来るからモテると思うんだけど。












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