30才の初恋
失敗を繰り返しようやく完成したケーキ。




どうでしょうか。




松井シェフは私の作ったケーキをじっと眺めた。




どう、どう、かなりいい感じなんだけど、駄目かな?



「まぁ、まぁかな、合格だ。」




本当に、本当に合格。




松井シェフを見上げた。




「本当に合格ですか。」




「あぁ、合格だ。」




嬉しさのあまり松井シェフに抱きついてしまった。




2人で抱き合って喜んでると、「2人で何してるんだ!」




怒りに満ちた顔で、斗真が私たちを見た。




違うの誤解だから、斗真落ち着いてよ。




キャー!




斗真が松井シェフを殴ってしまった。




どうしよう、違うの違うんだから、斗真のバカ!




私が斗真を殴り返してしまった。




どうしよう、だって斗真が悪いだからね。




松井シェフは笑い出すし、斗真は私を睨みつけてるし。



「社長落ち着いて下さい。明日美さんが、頑張ってケーキを完成させたんですよ。」




何で明日美は俺を叩くんだと拗ねてるけど、元は斗真が松井シェフを殴ったからいけないんだよ。



斗真は、本当に単純なバカだから。













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