30才の初恋
「ふ~ん、別れる事は出来ないって事か。じゃ、俺の言うことは何でも聞けるはずだね。」




何でも聞くには限度があるけど。




「じゃ、今直ぐ僕にキスして。」




キ、キ、キスをするって、それは駄目でしょ。




斗真を裏切る事なんて出来ない。




「何泣きそうな顔してんの。キスなんて挨拶みたいなものさ。」




ここは外国とは違うんです。




キスは斗真としかしない。




「無理だよ。」




キャー!




ま、ま、待ってよ。




何で、いきなりキスするの。




源ちゃんがオデコにキスした。




「まだ、思い出さない。」




うん、確かあの日、雨が降っていたから、源ちゃんと2人で雨宿りをした。




あの時、源ちゃんが私のオデコにキスしたんだ。




私は雨に濡れて熱を出した。源ちゃんは、あれからどうしたのだろうか。




源ちゃんは、何処かに引っ越していなかった。




私の初キスは斗真じゃなくて源ちゃんだった。




思い出してしまった。













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