30才の初恋
初キスが奈歩ちゃんだなんて、可笑し過ぎるけどなんだか嬉しい。

子供は苦手と思ってたのに、奈歩ちゃんは違うみたいだし。

奈歩ちゃんと手を繋いでスーパーへ入った。


奈歩ちゃんはお菓子に夢中。


「驚ろかせてごめん。奈歩の母親と明日美がそっくりなんだ。奈歩の母親は奈歩が1才の時病気で亡くなった。」


1才で母親を亡くした奈歩ちゃん。


悲し過ぎる。


「奈歩は小さかったから、母親の顔は覚えてないと思う。母親の写真で顔を覚えたんだ。」


泣けてきた。


「明日美が泣いてどうするんだよ。」


だってまだ3才なのに、ママに甘えたいだろうと思うと胸が痛む。


私なんて昔のトラウマに縛られて、一人でいじけてる情けないオバサンだ。


「今日だけでいいんだ。奈歩のママになってくれないか?」


私がママのふりをすればいいの?


それって、奈歩ちゃんにとって幸せなのかな。


「奈歩の誕生日に、お星様になったママに会わせてあげると、約束してしまったんだよ。」


そんな嘘直ぐにばれてしまうのに。


本当にバカなんだから。


でも、宗次郎の気持ちも分からなくもない。


こんな私が役にたつなら。


奈歩ちゃんの夢を叶えてあげたい。


今日一日だけなら、何とかなると思うし。



















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