30才の初恋
源ちゃんの両親は事故で亡くなっていた。




一人ぼっちになってしまった源ちゃんを、清水建設の副社長にしたのは斗真だった。




源ちゃんは結婚を約束した相手に裏切られて、女性を信じられなくなっていた。




源ちゃんは、何故過去に執着するのだろ。




源ちゃんとした約束をはっきり覚えていなかった。




ビードロがほしくて、源ちゃんのお嫁さんになると言ったのだろうか。




雨宿りしたあのトンネルにいたのは、源ちゃんだったのかな。




駄目だ、思い出せない。




「明日美ちゃん、少し食べた方がいいわ。果物でも持ってくるわね。」




咲良さんが出て行くと、直ぐに源ちゃんが部屋に入って来た。




「隣の部屋を使わせて貰う事になったから、明日美これからもよろしく。」




源ちゃんが手を握り、いきなり腕を引き寄せて胸に閉じ込めた。




「明日美、斗真じゃなくて俺を見てほしい。俺にはもう明日美しかいない。」




源ちゃん苦しいよ。




涙?




顔を上げると源ちゃんが泣いていた。




どうして源ちゃんが泣くの。




源ちゃんは、この胸に何を抱えているのだろうか。













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