30才の初恋
要さんは、咲良さんの初恋の人だった。



私は二人を残して、その場所から外にでた。



なんだか分からないけど、二人だけにしてあげたかった。



咲良さんは、斗真の父親とはお見合いで結婚したと聞いた。



政略結婚だったのかも知れない。



斗真が幼い頃、別居していたのだから。



でも、今はとても仲の良い夫婦であることに、間違いはないのだけど。



嫁の私はどうするべきなのか。



ただ、今は咲良さんを見守ってあげたいと思った。



いつも、咲良さんが私にそうしてくれるように、そっとしておいてあげたかった。



斗真も秘密にしておこう。




女同士の秘密。




陶芸場ふフラフラ歩いていると、声をかけられた。




「うちになにかご用ですか。」



振り向くと、イケメンさんがいた。




あれ、何処かで見た事がある。




この前見た雑誌に載ってたイケメンさんだ。



陶芸家の長田悟。



どうしてここに。




「もしかして、陶芸を習いに来た方ですか。」



何も言わずに頷くと、こちらにどうぞと案内された。



あ、でも、今戻るのは不味い。



思わず彼の腕を掴んだ。



かなり驚いてる様子。



だから、その、あの、とにかく駄目なんです。




言葉が出てこない。




彼が笑いだした。










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