30才の初恋

初恋の奇跡

彼が勘違いしたらどうしようかだなんて思わず、そのまま彼の手を引いて歩いた。



「長田悟さんですよね。あなた事雑誌で見ました。」



彼が優しく微笑んだ。




「ごめんなさい。今日は姑と一緒に陶芸を習いに来たのですが、その姑の咲良さんとお父様が知りないみたいで、今二人でいるので私とお話しませんか。」




悟さんは頷いてくれた。




悟さんか庭を案内してくれる事になった。




無言で暫く歩くと、茅葺き屋根の家が見えた。



「お茶でもいかがですか。」



外も素敵な感じだったけど、中はもっと驚くほど綺麗で、ワクワクが止まらない。



たくさんの陶芸品が並んでいた。



「それは全て父の作品ですが、父は今右手が麻痺をしていて、もう作品は作れなくなりました。」



赤い陶器が本当に素敵で、涙が溢れた。



「ごめんなさい。泣いたりして、とても素敵で感動してしまって。」




悟さんがありがとうございますと言った。




咲良さんの事を、どう話して良いのか迷った。




「あなたの姑さんは、咲良さんですよね。父の初恋の人だと聞いています。」



悟さんのお母様は病気で、亡くなっていた。




「父は母が亡くなってからはお酒ばかりを飲んで、陶芸を諦めたのです。咲良さんの事はいい思い出だと言ってました。初恋は実らないから良いのかもしれません。」



初恋に拘っていた自分が、なんだか恥ずかしくおもえた。



20年も斗真を思い続けたのだから。



初恋は叶わないものなのかな。



「お茶がさめますのでどうぞ。」



悟さんは結婚しているのだろうか。



指輪はしていない。




暫くして、可愛らしい女の子が部屋に入って来た。








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