30才の初恋
斗真とお揃いのお茶碗を作ったつもりが、灰皿みたいになってしまった。



咲良さんは手慣れた物で、綺麗な一輪挿しを作り上げた。



後日、焼き上がった物をとりに来ることを伝えると、悟さんが届けてくれると言う。



咲良さんはまだ先生と話が終わらないようなので、私は庭に出て斗真に電話をかけると、声がかなり近くで聞こえる。



「おい、どこを見てる。」



なんで、斗真がいるの?




「迎えに来た。」




嘘、だって今日は仕事だったでしょ。



「明日美さん外は寒いですよ。」




「誰、その男?」



不味い、絶対誤解されてしまう。



斗真、とにかく落ち着いて。



斗真が悟さんに近づいた時、車椅子にのった愛奈夏さんが現れて、ほっとした。



車椅子に乗った愛奈夏さんが、斗真に近づいて行く。



「思った通りの人ね。」



愛奈夏さんが斗真に興味を持ったのが分かると、斗真は何故か逃げ腰になる。




いつも自信満々の斗真が、愛奈夏さんを避けようとしている姿が面白かった。



斗真が私に助けを求めるだなんて、本当にあり得ないんだから。












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